ギター用ワイヤレスのメリットデメリット

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エレキギターの音をアンプから出す時は、ギターのジャックとアンプのインプット端子をシールドケーブルでつなぎますよね。

しかし、ワイヤレスの機材を使えば、シールドケーブルが無くてもアンプから音を出せます。

今回はバンドマン時代にライブで使っていた機材のことも思い出しつつ、ギターのワイヤレスのメリットとデメリットについて書こうと思います。

ワイヤレスシステムの仕組み

マイクやヘッドホンにもコードを使わないコードレスタイプの製品がありますが、ギターの場合も無線用の機材をつなぐことでコードレスにできます。

この機材を使う時は、ギターに送信機をつけ、アンプに受信機をつなぎます。

送信機はトランスミッター、受信機はレシーバー、これら二つをまとめてワイヤレスあるいはワイヤレスシステムと呼んでいます。

ギター ー> トランスミッター ・・・> レシーバー ー> アンプ
※点線の部分は無線

ワイヤレスシステムでは電波を使うのですが、電波には周波数なるものがあって、「Hz(ヘルツ)」という単位を使います。

楽器のワイヤレスでは2.4GHz帯と800MHz帯の2つの周波数帯が主に使われています。

2.4GHz帯は音質が比較的良いのですが、Wi-FiやBluetoothの周波数と同じなので、電波干渉を起こしやすいという弱点があります。

もう一方の800MHz帯の方は、電波干渉や障害物の影響を受けにくいのですが、音質は2.4GHz帯ほど良くありません。

また、この周波数帯に関する電波法の改正があり、該当するワイヤレス機器を購入する場合は、対応済みか否かを確認する必要があります。

非対応の製品を使うと罰則対象になるので、古い機種や中古品を探して買う場合は要注意です。

旧規格ワイヤレス機器が使用できなくなります
電波法関連法令「無線設備規則の改正」により、旧規格のワイヤレ...

ワイヤレスのメリット

ワイヤレス機器を使う場合のメリットは自由に動けることで、ライブの時のリハで客席へ行って音を確認することもできます。もちろん、本番中も自由に動けます。

ギターと機材をシールドケーブルでつなぐ場合は、ケーブルの長さが移動範囲になるので、動きまわるなら長いケーブルが必要ですが、ワイヤレスなら電波の届く範囲で動けます。

以下の動画では Line 6 の Relay G10S を使って音が届く距離を調べているのですが、結果は仕様上の距離(40m)とほぼ同じでした。一般的なライブでは問題ない距離ですよね。

リハやライブに最適!ペダル型ワイヤレス「Line 6 Relay G10S」

Boss、Line 6、Shure、Sennheiserの製品で比較している動画もありました。

The Ultimate Guitar Wireless System Shootout – Boss vs Line 6 vs Shure vs Sennheiser!

ワイヤレスのデメリット

便利なワイヤレスにもデメリットがいくつかあります。

音切れ

障害物の多い場所や電波干渉が起こりやすい場所で使う場合は、音が途切れる可能性があります。

特に2.4GHz帯を使う機材の場合は要注意です。スマホを使う人が多い場所だと電波が干渉してノイズが混じったり、音が途切れたりします。

ただ、最近は電波干渉を回避する機能が搭載されている機種もあります。

音質

ワイヤレスの機材を通すと、音質も若干変わるので、シールドでつなぐ時のセッティングのままだと違和感があるかもしれません。

特に2.4GHz帯を使った機材の場合は中低域が弱くなる感じがします。

音に関しては製品によって違うので一概には言えませんが、エフェクターかアンプで中低域を調整するとよいかもしれません。

ちなみに、BOSSの製品にはケーブルのシミュレーターが搭載されていて、二つの長さのケーブルの音を再現できるようになっています。

実際のケーブルとWL-60のシミュレーターの音を比較している動画があったので、参考までに貼っておきます。

ギターレッスン【BOSS WL-60のご紹介】2019年コスパ最強のワイヤレス!?

この動画ではルーパーに保存した音源を使ってカナレのケーブル、シミュレーターオフ、シミュレーター(ショートモード)、シミュレーター(ロングモード)の音を比較しています。

バッテリー切れ

ワイヤレスのトランスミッターは内臓している電池を使うのですが、乾電池式と充電式の機種があります。

ちなみに、先ほどのBOSSのWL-60は乾電池式(アルカリ単3電池2本)ですが、WL-50という製品は充電式(内臓充電池)です。

乾電池式の場合は、予備の電池を用意しておけば、電池切れになっても交換するだけで復活しますが、充電式の場合は充電が必要になります。

もちろん、事前に充電しておけば済む話なのですが、うっかり忘れることもないとは言えません。

また、充電池にはリチウムイオン電池を使うものが多く、異常発熱や安全面の情報もチェックする必要があります。

Relay G10シリーズ製品の安全性に関する重要なお知らせ - Line 6 Japan
Line 6 Relay G10/G10S/G10T ファー...
Line 6 トランスミッター「Relay G10T」に関するリコールについて
ニュースリリース - ヤマハ株式会社

僕が昔使っていたトランスミッターは乾電池式だったので、ライブ当日に電池を交換していました。

あと、エフェクトボードに予備の乾電池を1、2個入れていました。

むろん、故障した時に備えて長いシールドケーブルも持参。荷物は増えますが備えは大事です。

遅延(レイテンシー)問題

送信機から飛ばした音が受信機に届くまでには若干の遅れがあるため、アンプから出る音にも若干の遅れが生じます。

といっても、100分の1秒程度で、アンプから数メートル離れた所で聴こえる音と同レベルです。

また、最近の機種は遅れが改善されていて、例えば、BOSSのWLシリーズだと遅延が2.3ms(約1000分の2秒)です。

数字で言われてもピンと来ないかもしれませんが、1メートルくらい離れた所に置いてあるアンプの音を聴く感じ。

狭い練習スタジオを想像したら何となくわかると思いますが、もはや遅れを感じないレベルですね。

エフェクターを使う時の配置

アンプのセンドリターンにエフェクターを入れる場合は、冒頭で書いた接続方法と同じで、ギターのアウトプットとトランスミッターをシールドでつなぎ、レシーバーのアウトプットとアンプのインプットをシールドでつなぎます。

ギター、エフェクター、アンプの順につなぐ場合は、エフェクターの前にレシーバーが入ります。

例えばマルチエフェクターを使うなら以下の接続になります。

ギター ー> トランスミッター ・・・> レシーバー ー> マルチエフェクター ー> アンプ
※点線の部分は無線

複数のコンパクトエフェクターを並べて使う時は、レシーバーのアウトプットと1つ目のエフェクターのインプットをシールドでつなぎます。

ただ、レシーバーをアンプの近くに置き、エフェクターを足元に置く場合は、レシーバーのアウトプットと足元のエフェクターを長いシールドケーブルでつなぐ必要があります。

当然ながらエフェクターのアウトプットとアンプのインプットとつなぐケーブルも長いものが必要になるので、2本の長いケーブルを用意することになります。

最近はコンパクトエフェクターと同じくらいのレシーバーもあって、その手のレシーバーを使うならエフェクトボードの中に入りますし、長いケーブルはアンプに信号を送る1本だけで済みます。

センドリターンと足元の両方にエフェクターを置くとか、MDIコントローラーで操作するとか、機材が増えると混乱しそうですが、「ギター 、ワイヤレス機材、次の機材」という順番でつなげば大丈夫だと思います。ワイヤレスの電源がオフだと音は出ませんけどね。

さいごに

僕がワイヤレスを使っていたのは30年くらい前ですが、当時はREXERのワイヤレスを使う人が多かったように記憶しています。

REXERはGuyatoneのギターを製造していた東京サウンド(2013年1月に営業停止)のブランドです。

僕は価格が安かったマクソンのラックタイプを使っていましたけどね。

久々にワイヤレス機材をネットで見て回ったのですが、随分と安くなりましたね。中には数千円で買えるものもありました。

ただ、音に影響する機材なので、僕なら老舗メーカーの製品で、トランスミッターが乾電池式のものを選ぶと思います。